上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line
○デパート内(人で賑わっている)

  買い物袋をもった志保と神屋が休憩用のソファーに掛ける。

志保「夜中までシナリオを書いて寝不足なのに、買い物までつきあわせてしまってごめんなさい」

神屋「いや、ここ半年ほどシナリオに掛かりっきりでほとんど外に出なかったから、いい気分転換になったよ」

  その時、神屋が向こうを見て顔色を変えたので志保もその方角を見る。
  千秋が婚約者(33)と楽しそうに買い物をしている。

  千秋、婚約者の髪をさりげなく直してやる。
  神屋、凍りついたように千秋を凝視。

  志保、千秋から神屋に目を移す。
  千秋、神屋に気付いて青ざめる。

  婚約者、千秋の異変に気付き、なにとはなく神屋を見たが、気付いてない様子。
  千秋と婚約者、デパートから出てゆく。

  まだ出口を見ている神屋に、

志保「前につきあってた人ですか?」

  神屋、力なくうなずく。

志保「ごめんなさい、私が今日誘いさえしなかったら見なくてすんだのに」

神屋「いや、それにしてもなんというタイミングなんだ。めったに街に出ない私と、あんな遠い島から出てきた二人と、この時間にこの場所で鉢合わせするとは・・・」

  志保、神屋の手にそっと手を添え、

志保「大丈夫ですか?」

神屋「私こそ、気まずい思いをさせてすまなかった」

志保「心臓が止まるような場面に出くわしたのに私の事を気遣ってくれるなんて、本当に大人なんですね」

神屋「ははは、よせよ」

志保「一つ質問。神屋さんって若い子好みなんですか?だったら、さっきの人より私の方が二歳も若いんだから超理想でしょ」

  神屋、苦笑。

志保「あ、その笑顔いい。そのまま・・・」と携帯で写真を撮る。

志保「今度はツーショットで」もう一枚撮る。
line
 二人の唇が近づく。
  志保、まぶたを震わせて目を閉じる。

  神屋、唇が触れる寸前に思い止まる。
  志保、そっと目を開け、

志保「(悲しげに)私じゃだめですか?」

神屋「そうじゃない。君の人生に介入するのが恐ろしいんだ」

  志保、驚いて神屋を見つめる。

神屋「前の彼女に十年もぼうにふらせてしまったから・・・。複雑な気持ちだけど、幸い結婚が決まったからよかったものの、もし一生縁がなかったら、死んで詫びても償えないとこだった。私につまずいた事を後悔しているんじゃないかと思ったら耐えられない気持ちになるんだ」

志保「神屋さんって優しいんですね。でも相手の人も子供じゃないんだし、楽しい事も 一杯あったはずだからそんなふうに自分を責めないで。それに私、こうみえてもタフだし、ふられても離れませんから」

  神屋、驚いて志保をみつめる。

志保「(照れて)シナリオの締め切りはいつですか?」

神屋「あさっての消印まで」

志保「じゃ、今すぐ取りかかって完成させなきゃ。完成するまで邪魔にならないように台所とお風呂の掃除でもしときますから、出来たら一番に読ませて下さいね」

神屋「いいよ、掃除なんかしなくても」

志保「し・た・いんですっ。私の事は気にしないで、さっ、早く早く」

神屋「ははは、わかった、わかった」
line
○神屋のマンション(室内) 
 
  志保、殺風景な部屋を珍しそうに見回し、

志保「こんなすっきりした部屋、初めて見ました・・・」

  神屋、パソコンのスイッチを入れながら苦笑。
  シナリオを夢中で読んでいる志保を、神屋が見惚れたように眺めている。次いで、あらわになった太ももに釘 付けになる。

  小さくため息をつき、キッチンにいって湯を沸かす。
  神屋が机にコーヒーを置いてやったと同時に志保が振り向き、

志保「最高!この作品が神屋さんの人生を変えそうな気がする。ああ、体が震えてきちゃった」

  神屋、凝然と志保を見つめ、

神屋「本当にそう思う?」

志保「(うなずき)ぐいぐい揺すられて、ラス トまで一気に引っ張られました」

  神屋、目を輝かせて志保を見つめる。

志保「お願いですから最後は絶対にハッピーエンドにして下さいね」

神屋「(うなずき)そのつもりだ」

  志保、コーヒーに気付き、

志保「気をつかわせてごめんなさい。いただきまーす。あっと、もう入選確実だから前祝の乾杯」と椅子から立って神屋とコーヒ ーカップを合わせる。

神屋「面白いとは思うけど、自分が書いたものは客観的に読めないんだ。本当に入選するかな?」

志保「間違いありません。最高っ」

神屋「ははは、君の最高は、最高だ。なんだか希望がわいてきた。私は夢がないと生きていけないから。いつかという思いがあったから今日まで生きてこられたんだ」

  志保、満面の笑顔でうなずく。
  志保、神屋に真剣な眼差しでみつめられ、うろたえる。
line
志保、照れながら、

志保「映画とか好きですか?私、洋画の大ファンなんです。映画のことを語らせたらちょっとしたものですよ」

  神屋、思案げに志保をみつめる。

志保「(とまどい)どうかしましたか?」

神屋「ボツ生活十年だけど、映画のシナリオを書いてるんだ」

志保「え、えーっ。見たいー」

神屋「え、興味あるの?」

志保「すっごく。やっぱり、どこか他の人とは雰囲気が違うなって、思った通りでした」

神屋「(嬉しそうに)本当に今すぐ見たい?」

  志保、うなずくと同時に伝票をもって立つ。

神屋「あっ、私が」

志保「失業した人におごってもらう訳にはいきません」

神屋「まだ文無しになったわけじゃないからいいって」

志保「じゃ割りかん。それならいいでしょ」

  神屋、レジに向かう志保をみて苦笑。



○走行中の車内

  神屋、CD(R・ストーンズのジャンピング・ジャック・フラッシュ)をかける。

志保「あ、この曲CМで聴いた事がある」

神屋「気分が高揚した時に聴きたくなる曲なんだ。しばらくそんな気になれなかったけど」

 志保、顔を輝かせて神屋をみつめる。

志保「どんなストーリーなんですか?」

神屋「かいつまんで話すと、進展しない拉致問題に剛を煮やした大金持ちの主人公が、傭兵を雇って被害者を奪還しにいくって話し。あとエンディングを書いたら完成ってところまでこぎつけたんだけどね」

志保「聞いただけでわくわくしてきちゃった」

  二人、車内で楽しそうに話している。
line
志保「ついでに別れた理由を聞いてもいいですか?」

神屋「思い当たる事は山ほどあるけど、いま頭の中で整理してる所なんだ。といっても思い出すのが辛くて、いつも途中で考える事から逃避してしまうんだけどね。別れてからまだ半月しかたってないけど、この半月で一生分学んだよ」

  意味がわからない表情の志保を見て、
 
神屋「女性は全身全霊を傾けて愛さなければならない。愛されているからと、決して手を抜いてはならないって事をね」

志保「(畏敬の目で見つめ)いいタイミングで出会えてラッキーでした」

  神屋、驚いて志保をみつめ、

神屋「ちょっと聞くんだけど君は・・・」

志保「しほって呼んでください」

神屋「志保さんは、ひょっとしたらファザコン・・?」

志保「(微笑み)前の人は?」

  神屋、頭を振る。

志保「でしょ。もっと自分に自信をもってください。わたしもですけど、前の人もきっとチャラチャラした若い人には関心がなくて、純粋に神屋さんに惹かれたんだと思います」

  神屋、驚いて志保をみつめる。
line
line

line
プロフィール

dream50

Author:dream50
悲劇は嫌い。ハッピーエンドが好きです。これからフジテレビヤングシナリオ大賞に応募して落選したシナリオを少しずつアップしていきますが、みなさんはどう感じられるでしょうか・・・・


「最後の適齢期」

 あらすじ

派遣社員の神屋修三(55)は、二十五歳年下の千秋(30)と付き合って十年になるが、ある日不安が鬱積していた彼女と喧嘩になり、怒った神屋は三ヶ月間連絡をとらなかった。

三ヵ月後に再会すると、彼女は仕事を辞め島に帰る決心をしていた。喧嘩が原因で内在化していた強迫性障害と鬱が悪化し仕事を続けられなくなったのだ。

そればかりか、島では見合いの話しがもちあがっており、驚いた神屋は別れたくないと懇願したが、彼女は再会を約束し、島に帰ってしまう。

半月後に再会するが、安定した生活を望んでいた千秋は公務員の見合い相手に心をひかれ、以後会うことを拒んだが、神屋は強引に再会を約束させる。

後日、突然仕事を解雇されて打ちひしがれた神屋は千秋に助けを求めるが、見合い相手にプロポーズされたからと神屋を冷たく突き放す。


登場人物

神屋修三(55)
千秋(30)
志保(28)
久美子(30)
久美子の妹(25)
千秋の婚約者(33)
千秋の母親(55)
工場の上司A(50)
映画会社の重役
A(40)
B(50)
C(55)

line
最近の記事
line
最近のトラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリー
line
RSSフィード
line
リンク
line
sub_line
フリーエリア
line
スポンサードリンク
line
フリーエリア
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。